「認知症」という言葉が使われるようになったのは、2004年に日本で名称変更され
使用されるようになった言葉です。現在は2019年なので15年前ですね。
15年か〜。長いでしょうか?短いでしょうか?
「dimentia」に対する日本の言葉で、それまでは「痴呆」とか「痴呆症」
はたまた「ボケ」と言われていました。
「痴呆症」という言葉ではなく「認知症」という言葉が使用されるに至った経緯として
・侮蔑感を感じさせる表現方法である事
・実態を正確には表現できていない事
・早期発見・早期診断など取り組みに支障が起きる事
などの理由が厚生労働省より発表されている。
介護が注目されている昨今、この「認知症」とはいかなるものなのでしょうか?
気になる方は是非お付き合いください。
・認知症の超基礎的知識の理解を深めたい
・認知症の方の日常生活の困難さを考えたい
・認知症の治療とこれからの相談について知りたい
・「認知症の人」という考え方を深めたい
認知症への理解の始まり

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「認知症っていう言葉は聞いたことあるけど・・・?」
という方はおられるのではないでしょうか。
かく言う私も、介護を勉強するまでは
「認知症?、あ〜〜〜?」
と言う感じでした。
「認知症」とは
「成人になってから起こる認知機能の障害の為に、毎日の生活に支障を来す状態」です。
「認知機能」というのは記憶・思考・理解・計算・学習・言語・判断
などのことを指します。
これら「認知機能」が障害されるという事により
「毎日の生活に支障を来す」「日常生活や社会生活を送る事が困難になる」
というのは、想像に難くないと思います。
2度目になりますが、かつては「痴呆」や「ボケ」と言われたりしました。
なぜ認知機能が障害されるのか、これは
「脳細胞の死滅や活動の低下によるものである事」
がわかってきています。
認知機能の障害が先天的にある、あるいは発育期に起こる場合には
「知的障害」と現代社会では言われています。
これもかつては「精神発達遅滞」と言われていました。
認知症は「症候群」!?

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認知症とは「病気の状態を示す総称」と言うものであり「病名ではありません」
「症候群」と言ったりするそうですね。
「症候群」とは
ある病的状態の場合に同時に起る一群の症状を言うもので
いずれも必ず起きるとは限らないけれど、同一の根本原因から発する者として
一つの方向を示し、まとまった病状や疾病の本質に近づくための出発点
となるものである
引用元:ブリタニカ国際大百科
つまり、「認知症」で
「認知障害の症状」「日常生活に支障を来す症状」が起こるのは
「様々な根本原因」があるからである
と言えると思います。
う〜ん、ややこしくてすいません。
原因疾患と中核症状と周辺症状
「認知症」で
根本の原因の病気を「原因疾患」
認知機能の障害は「中核症状」
日常生活に支障を来す症状は「行動・心理症状(BPSD)」
なんて言ったりします。
行動・心理症状は、「BPSD」なんてよんだりします。
最近までは「周辺症状」と呼ばれてもいましたね。
認知症を引き起こす病気(原因疾患)
↓
認知機能障害(中核症状)
↓
日常生活の支障・生活上の障害(行動・心理症状)
図で表すとこんな感じ!?
ある認知症の方の具体的な様子・・・
(みなさんこうなるというわけではありません。1つの例です)
- 1. 「今日は何かありますか?」という事をつい先ほど聞いたことでも、何度も何度も
繰り返しに聞かれ、不安そうにされる。
- 2. 「家に帰ります」と言われ、知っているはずの道に迷われてしまう。
- 3. 料理が得意だった方が、作る料理の手順が分からなくなってしまい
イライラし、怒られる。
中核症状 | 行動・心理症状 | |
|
「記憶障害」による
繰り返しの質問 |
不安な様子 |
|
「見当識障害」による
場所の分からなさ |
知っている道に迷い徘徊と
言われてしまう |
|
「実行機能障害」による
料理の手順が分からなくなってしまう |
イライラから来る
暴言・暴力 |
私たちは、目に見えて表れる「心理・行動症状」の部分だけを見て、
認知症の人達を判断してしまいがちです。
奥の部分、「目に見えない部分にには中核症状・原因疾患がある
という事を念頭に置いておく必要」がありますね。
WHO(世界保健機関)による認知症の定義では
脳疾患による症候群であり、通常は慢性あるいは進行性で
記憶・思考・見当識・理解・計算・学習能力・言語・判断を含む多数の
高次皮質機能障害を示す。意識の混濁はない。
認知障害は、通常、情動の統制、社会行動あるいは動機付けの低下を伴うが
場合によってはそれらが先行することもある。
間違いなく、これが一番ややこしい!!汗
知っておきたい4大認知症

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認知症の原因となる病気は、研究者によって異なりますが、
「50〜100種類前後」あるとも言われています。
また、脳の病気による一次的要因と
脳以外の身体的・精神的ストレスによる二次的要因があります。
二次的要因には、環境の変化や人間関係、不安、抑うつ、混乱、身体的苦痛などがあります。
そして、一時的要因には中でも代表的な4つの認知症がありあます。
それらは「4大認知症」と呼ばれています。
これが次の4つだ!
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭葉型認知症
これが今までお伝えした「認知症」の「原因疾患」となるものの代表的な4つです。
発症例が多いとされる4つの認知症で全体の約9割を占めるとも言われています。
これらは「脳の病気」なんです。
認知症の症状は治るの?誰に相談すればいいの?
結果から申しますと
認知症を引き起こす原因によって「治るものと治らないものがある」です。
手術などによって症状改善、治るものとしては
- 正常圧水頭症
- 慢性硬膜下血腫
などが有名です。
ですが、先程紹介したような「4大認知症」には
根本的に治る治療法はないとされています。
現在では「発症を遅らせる」事や「認知症の進行を緩やかにする」
という治療が一般的です。
しかし「認知症の治療」や「認知症予防」についても研究やデータの収集も進んでおり
前向きな情報も発表されてきています。
また、やはり「早期発見」というのがとても大切になってきます。
認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MCI)」
という診断もあります。
「あれ?何かおかしいぞ」「いつもと違うな」と思えば
「かかりつけ医への相談」「もの忘れ外来への受診」
なども検討してみてはいかがでしょうか?
公共団体の「地域包括支援センター」への相談も
良い方法なのではないかと思います!
認知症と私たち

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認知症は老化による「もの忘れ」とは違います。
認知症は誰もがかかる可能性のある「病気」です。
高齢になればなるほど、発症の危険も高まります。
身近な人、大切な人の事を忘れてしまう
怖く悲しい病気であるとも思います。
しかし2016年12月「約3,423万人」の高齢者の方の調査では
元気な高齢者の方・・・・・約80%
要支援・要介護の高齢者の方・・・・・約18%
サービス事業対象の高齢者の方・・・・・約2%
元気な65歳以上の方は沢山いてくださることが分かります。
2025年問題など心配される事はありますが、
ここからの「認知症への明るい未来」を作っていくのも
私たち日本に住む全ての人達であることは、間違いありません。
認知症への理解が1人のはじめの一歩
延いては日本の一歩に繋がるものとも思います。
「認知症」のことだけが問題ではありませんが、
これもまずは知る事が「肝心」です。
知っているからこそ「あー病気の人」とマイナスにイメージするのではなく
その違いを理解しているからこそ出来る
違う話しかけ方、違う寄り添い方ができるに違いありません。
- 「認知症」の人
- 認知症の「人」
学校で学ばせて頂いた言葉です。
「認知症」という病気を中心にみてしまうと、今まで生きてこられた
その方の人生観や、その人自身を見失ってしまう、かもしれません。
今のその人や、その人自身をきちんと理解する為にも
認知症への理解は、その一歩かもしれません。
・「痴呆症」から「認知症」へ
認知症ケアは大きく変わってきている
・認知症を知る事で、早期発見への準備と相談できる場所の重要性を知る
・認知症の理解は、ある人への本当の理解を得る一歩になるかもしれない
みんなが、より楽しく共に生きれる社会の実現を目指したいですね